公開日 2022年02月25日
1.地縁による団体・認可地縁団体とは
「地縁による団体」とは、良好な地域社会の維持や形成を目的とした、一定区域に住所を有する住民の自主性により組織されたものを指します。(例:自治会など)
平成3年に地方自治法の一部改正に伴い、「地縁による団体」が一定の条件を満たす場合に手続きを行い、市の認可・告示を受けることで、法人格を取得できるようになりました。
この法人格を得た地縁団体を「認可地縁団体」と言います。
※法人格の取得は可能ですが、法務局への法人登記はできません。この手続きに代わるものが、市の認可・告示となります。
※老人会・青年会・サークル活動団体など、性別や年齢が入会条件や、活動内容が限定的な団体は、対象外です。
2.認可を受けるための条件
「地縁による団体」が認可受け、法人格を取得するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
また、認可後にこれらの要件を満たさなくなった場合は、認可取り消しとなります。
①地縁による団体の存在する区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っているを認められること
※過去1年以上の活動実績が必要なため、団体が発足して少なくとも1年以上経過している必要があります。
②地縁による団体の区域が住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること
③地縁による団体の区域に住所を有するすべての個人は、構成員となることができるものとし、その相当数の者が現に構成員となっていること
※相当数とは、一般に自治会に加入していない人を含めた区域全域の住民の過半数のことを指します。
④規約を定めていること
※代表者・監事・総会などについては、地方自治法に規定されています。
規約には、次の8つの事項を定めている必要があります。
(1)目的 (2)名称
(3)区域 (4)主たる事務所の所在地
(5)構成員の資格に関する事項 (6)代表者に関する事項
(7)会議に関する事項 (8)資産に関する事項
※令和3年5月の地方自治法の一部改正により、認可の条件として「不動産等の所有を前提としない」こととなりました。
※新しく認可を受けようとする場合は、必ず事前に企画総務課へご相談ください。
3.認可地縁団体になることのメリットと義務
(1)メリット
・法人組織となるため、活動や組織に対する信頼性が向上します。
・法人名で土地・建物の登記ができます。
・法人として継続した財産管理ができるようになります。
・実質的に自治会が占有している不動産であって、登記名義人や相続人の一部の所在が知れないためすべての方からの同意が得られず、疎明に足りる資料があり、公告の要件をすべて満たしている場合、市役所に申請し一定期間公告することで、認可地縁団体名義で所有権の移転登記ができる特例制度を活用できます。
(認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例)
※認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例についてはこちらから
(2)義務
・年に1回の通常総会の開催が義務化されます。
・毎年、1月から3月の間に常にその最新の資産目録を作成し、法人の主たる事務所に備え付ける必要があります。
・常に最新の構成員(会員)名簿を作成し、主たる事務所に備え付ける必要があります。
・特定の政党のために利用するような政治活動はできません。
・納税の義務が明確化されます。
・地方自治法に則った適正な運営が必須となります。認可地縁団体の事務は規約で委任されている事項以外は総会の議決が必要です。
・代表者や主たる事務所、規約などに変更がある際は、その都度市役所へ届け出や認証申請を行い、告示を受ける必要があります。
・破産手続開始の申し立てを怠ったり、債権者への公告を怠ったりすると、50万円以下の過料に処される場合があります。
・認可地縁団体の告示事項証明書(法人登記簿に代わるもの)は、関係者に限らず誰でも取得可能なため、認可地縁団体の歴代の代表者の氏名・住所が公になります。
4.認可申請の流れ
(1)事前準備(申請者)
・自治会などで法人化の申請の是非について話し合います。
・団体名義にする不動産などの所有者の把握、名義変更の同意の取得などを行います。
・規約案などの作成を行います。
・総会の開催前に必ず企画総務課へご相談ください。
(2)総会の開催(申請者)
・現在の自治会の規約に基づき招集された総会を開催し、以下の事項の議決を得ます。
※役員会などの省略された会議での議決は無効です。
議決が必要な案件 | 総会に必要な書類 |
①規約の制定(改正) | 認可地縁団体の規約案(改正案) |
②認可申請することの議決 | |
③代表者の選出 | |
④構成員の確定 | 構成員名簿(自治会員名簿など) |
⑤保有する(予定)資産の確定 | 保有(予定)資産目録 ※ |
※資産を保有または保有予定の場合のみ必要
(3)申請(申請者)
・申請書類を作成します。下記の認可申請に必要な書類を参照してください。
・すべて揃ったら企画総務課へ提出してください。
(4)審査(市役所)
・認可要件を満たしているかの書類審査を行います。書類・内容に不備がある場合は受理できません。
・審査には2週間から1カ月程度の時間がかかります。
(5)認可・告示(市役所)
・審査の上、認可要件を満たしていることが確認できましたら、市長が認可及び告示して手続き完了です。
・市は代表者に認可された旨の通知を行います。
5.認可に必要な書類について
(1)認可申請書
・申請者は団体の代表者となります。
(2)規約
・規約の名称に制限はありません。(例:〇〇会会則)
・以下の事項すべてを含んだ規約である必要があります。
必須項目 | 内容 |
①目的 | 良好な地域社会の維持・形成のために地域的な共同活動を目的に定めている。 |
②名称 | 団体の正式名称を記載。 |
③区域 | 客観的に明確であること。住所地番のほか、河川や道路などによる記載も可能。 |
④事務所の所在地 | 地番による記載のほか、「代表者の自宅」や「〇〇集会所」のような記載も可能。 |
⑤構成員の資格に関する事項 | 区域内に居住するすべての個人が加入可能で、その他の加入条件を設けていない。 |
⑥代表者に関する事項 | 代表者1名の設置とその職務を定めている。代表者の名称は「会長」も可能。 |
⑦会議に関する事項 | 通常総会や臨時総会、役員会の開催方法を定めている。 |
⑧資産に関する事項 | 団体が保有する(予定)資産の構成・管理方法を定めている。 |
(3)総会議事録の写し
・「認可申請への承認」、「代表者の選出」(申請書に記載の代表者と一致)、「新規約の承認」、「構成員の確定」
上記の4項目が記載された総会議事録の写しで、議長及び議事録署名人の署名(又は記名)・押印が必要です。
(4)構成員の名簿
・構成員(会員)全員の住所、氏名を記載した名簿が必要です。
※世帯ではなく、個人名での名簿が必要です。(既存の名簿での代用可能。ただし、個人名が必要です。)
※区域内の全住民のうちの過半数が構成員(会員)である必要があります。
※名簿作成の日付は、申請日以前の日付としてください。
(5)区域図
・区域が明確にわかるものであれば、任意の区域図で構いません。
(6)保有資産目録または保有予定資産目録
・すでに資産を保有し、新たに保有する予定がある場合は、両方の目録を提出してください。
・資産を保有する予定のない場合は不要です。
(7)前年度の事業報告書、収支決算報告書
・直近の総会資料などで作成した事業報告書、収支決算報告書で構いません。
(8)地縁による団体の代表者の承諾書
・申請者に記載の代表者が署名してください。
※日付は申請日もしくはそれ以前の日付としてください。
(9)代理人の有無
・申請書に記載の代表者が署名又は記名してください。
・地方自治法第260条の8による代理人及び、第260条の10による特別代理人が選任されている場合は「有」を選択し、代理人の住所氏名を記載してください。
(10)代表者の職務趣向停止の有無、職務代行者選任の有無
・申請者に記載の代表者が署名または記名してください。
・裁判所により、仮処分の申し立てに基づく代表者の職務執行の停止及び職務代行者が選任されている場合は、それぞれ「有」を選択し、職務代行者の住所氏名を記載してください。
6.規約や告示事項の変更があった場合
認可地縁団体としての認可を受けた後に、規約や告示された内容(代表者の氏名・住所など)に変更があった場合、「規約変更認可申請」・「告示事項変更届出書」の手続きが必要です。市長の変更認可・告示がないと、変更されたものに効力が発生しないため、第三者に対抗ができなくなります。規約や告示事項を変更する際には、必ず企画総務課へご相談ください。
7.認可の取り消しと解散
(1)取り消し
認可を受けた地縁による団体が次の要件に該当する場合、市長はその認可を取り消すことがあります。
・上記4つの認可要件のうち、そのいずれかを欠くことになったとき
・不正な手段により認可を受けたとき
(2)解散
認可を受けた地縁による団体が下記の1つに該当するとき、認可地縁団体は解散します。市長に対して届出(市長による解散告示)、及び清算に伴う債権申出の公告(官報による公告)が必要です。
・規約に定めた解散事由があるとき
・破産したとき
・認可を取り消されたとき
・構成員の4分の3以上の承諾のある総会の決議があったとき
※規約に別段の定めがあるときを除く
・構成員が欠乏したとき
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