○阿波市議会議員政治倫理条例
平成17年12月26日
条例第193号
(目的)
第1条 この条例は、阿波市議会議員(以下「議員」という。)が市民から市政に関する権能を信託された代表であることを自覚し、また、市民全体の奉仕者として人格及び倫理の向上に努め、いやしくもその地位による影響力を不正に行使して、自己の利益を図ることのないよう必要な事項を定めることにより、市民の信頼にこたえるとともに、市民が市政に対する正しい認識及び自覚を持ち、公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(議員の責務)
第2条 議員は、市民全体の代表者として、市民の信頼に値する、より高い倫理的義務に徹し、法を遵守し、市政にかかわる自らの役割及び責務を自覚するとともに、自ら研鑽を積み、良心及び責任をもって政治活動を行わなければならない。
2 議員は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら潔い態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。
(市民の責務)
第3条 市民は、主権者として自らも市政を担い、公共の利益を実現する責任を有することを自覚するとともに、議員の政治活動に対し関心を持つよう努めなければならない。
2 市民は、議員に対し、次条に規定する政治倫理基準に反するような働きかけを行ってはならない。
(政治倫理基準)
第4条 議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民全体の代表者として、品位及び名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して、不正等の疑惑を持たれる恐れのある行為をしないこと。
(2) 市民全体の奉仕者として、常に人格及び倫理の向上に努め、その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。
(3) 市(市の出資法人等(市が資本金その他これに準ずるものを出資している法人をいう。)を含む。以下同じ。)が行う許可、認可又は工事等の請負契約、下請工事、業務委託契約及び一般物品納入契約に関して特定業者を推薦、又は紹介するなど有利な取り計らいをしないこと。
(4) 市職員の公正な職務執行を妨げ、その権限又はその地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと。
(5) 市職員の採用、昇格又は異動に関して、推薦又は紹介をしないこと。
(6) 市から活動及び運営に対する補助又は助成を受けている団体等の長に就任しないこと。
(7) 政治活動に関して企業、団体等から寄附等を受けないものとし、その後援団体についても政治的批判又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けないこと。
(市民の審査請求権)
第5条 議員が次の各号のいずれかに違反する疑いがあるときは、市民にあっては有権者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第74条第5項に規定する選挙権を有する者をいう。以下同じ。)10人以上の者の連署、議員にあっては議員定数の6分の1以上の者の連署をもって、これを証する資料を添付した審査請求書を提出して、阿波市議会議長(以下「議長」という。)に対し政治倫理基準に違反する行為の存否の審査(以下「審査」という。)を請求することができる。
(1) 前条に規定する政治倫理基準
(2) 第14条に規定する請負契約等に関する遵守事項
2 議長は、審査の請求(以下「審査請求」という。)があったときは、阿波市政治倫理審査会条例の規定に基づき設置される阿波市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)による審査を求めるため、審査請求書及び添付書類の写しを市長に直ちに送付しなければならない。
(政治倫理審査会の設置等)
第6条 市長は、前条第2項の規定により送付を受けたときは、阿波市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置し、当該審査を付託しなければならない。
2 審査会の組織、委員、任期、権限等については、審査会条例に定める。
(審査会の審査結果)
第7条 審査会は、議長が審査請求を受けた日から90日以内に、付託された審査を終え、議長に対してその審査結果を文書で報告しなければならない。
2 議長は、前項の規定による報告を受けた日から7日以内に、当該報告に係る文書の写しを、審査請求をした者の代表者及び審査の対象となった議員(以下「対象議員」という。)に送付するとともに、当該報告の概要を市民に公表しなければならない。
(審査結果の尊重)
第8条 議長は、審査会から報告を受けた事項を尊重し、政治倫理基準に違反したと認められる対象議員に対して、議会の名誉及び品位を守り、市民の信頼を回復するため、必要な措置を講ずるものとする。
(職務関連犯罪で逮捕された場合の説明会)
第9条 対象議員が刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までに規定する収賄罪若しくは同法第198条に規定する贈賄罪又はその他の職務に関連する犯罪で逮捕された後においても引き続き議員の職にとどまろうとするときは、対象議員は議長に対し、市民に対する説明会の開催を求めることができる。この場合において、当該対象議員は説明会に出席し、釈明するものとする。
(議長職務の代行)
第10条 議長が審査の対象になったときは副議長が、議長及び副議長が共に審査の対象になったときは年長の議員が、この条例に規定する議長の職務を行う。
(審査報告書の公表等)
第11条 議長は、審査会条例第6条第2項の規定により、市長から第7条第1項による審査報告書の写しの送付を受けたときは、その審査結果を議員協議会において報告するとともに、その要旨を速やかに公表し、その内容を審査請求をした市民の代表者に通知しなければならない。
2 前項の規定による審査報告書の写しは、議長において審査報告書の送付を受けた日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。
3 何人も議長に対し、前項の規定により保存されている審査報告書の写しの閲覧を請求することができる。
(議員の協力義務)
第12条 対象議員は、審査会条例第7条第1項の規定による求めがあったときは、資産に関する資料その他必要な資料を提出しなければならない。
2 対象議員は、審査会条例第7条第2項の規定による求めがあったときは、審査会に出席し、意見を述べ、又は説明をしなければならない。
3 議長は、審査会条例第7条第3項の規定により審査会から対象議員が審査会の求めに応じなかった旨の通知があったときは、その内容を速やかに公表するものとする。
(議員及び議会の措置)
第13条 対象議員は、自己に関する審査報告書において、その行為が政治倫理基準に違反している旨の指摘がなされたときは、これを尊重して政治倫理確立のために必要と認められる措置を講じなければならない。
2 阿波市議会(以下「議会」という。)は、対象議員が前項の措置を自ら講じないときは、議会の名誉及び品位を守り、市民の信頼を回復するために必要と認められる措置を講じるものとする。
(市工事等に関する遵守事項)
第14条 議員の配偶者、1親等以内若しくは同居の親族又は議員が役員をしている企業及び議員が実質的に経営に携わる企業は、地方自治法第92条の2の規定の趣旨を尊重し、市が行う工事等の請負契約、業務委託契約及び一般物品納入契約(以下「請負契約等」という。)を辞退し、市民に疑惑の念を生じさせないよう努めなければならない。
2 前項の実質的に経営に携わる企業とは、次に掲げるものをいう。
(1) 議員が資本金その他これらに準ずるものの5パーセント以上を出資している企業
(2) 議員が年額60万円以上の報酬(住宅、車両、その他の便宜供与を含む。)を受けている企業
(3) 議員がその経営方針に関与している企業
(4) 議員が当該企業の役員と同程度の執行力と責任を有する企業
3 前2項の規定に該当する議員は、市民に疑惑の念を生じさせないため、責任をもって関係者又は関係企業の辞退届を提出しなければならない。
4 前項の辞退届は、議員の任期開始の日から30日以内に、議長に提出するものとする。
5 議長は、議員から辞退届があったときは、その写しを市長に送付しなければならない。
6 市長は、前2項の規定による辞退届の提出状況を広報紙等で速やかに公表しなければならない。
(委任)
第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成18年4月1日から施行する。
附則(平成28年3月23日条例第16号)
この条例は、平成28年4月1日から施行する。