公開日 2016年05月17日
台風の接近に伴う農作物等の管理対策
以下の点にきをつけましょう!
水稲
【事前対策】
1.強風による稲株のゆれや葉先の損傷などをできるだけ少なくするため、深水管理に努める。
2.冠水が予想される場合は、排水路、排水口の整備を行い長時間冠水しないように心がける。
【事後対策】
1.浸水、冠水したほ場では、できるだけ早く溝切り、水路のゴミを除去し、濁水の排水に努める。
2.台風による暴風は、稲の表面から多量の水分を奪い、茎葉に損傷を与えるので水田に水を入れる。
3.育苗中の稲苗は、強風で葉が傷つくため、寒冷紗などで被覆する。
野菜
【事前対策】
1.雨除けハウス等は、取り付け金具の締め直しやマイカ線の固定、側杭の補強を行うとともに、防風ネットなどをよく点検しておく。
2.夏秋ナス等の果菜類は、支柱および防風ネットを補強する。
3.冠水や浸水のおそれのあるほ場は、排水溝を整備しておく。
【事後対策】
1.浸冠水したほ場は、早急に排水に努め、適正水分に戻す。
2.べたがけ資材で被覆したほ場は、台風通過後できるだけ早く除去し、茎葉に付着した泥は水で洗い流す。
また、各作目の防除基準に基づいて薬剤散布を行う。
3.夏秋ナス等の果菜類は、風雨害による傷葉を除くとともに、各作物の防除基準に基づいて薬剤散布を行う。
4.株元が露出したり、降雨により土壌が締まっていたら、天候の回復を待って株元へ土寄せするとともに、畦全体を軽く中耕して通気性を良くする。
5.樹勢の回復を図る場合は、薄い液肥の施用や葉面散布を行う。
6.豪雨により肥料の流亡が考えられる場合は、樹勢回復後、即効性の肥料を追肥する。
果樹
【事前対策】
1.風が当たりやすい園地は、防風ネット等を予め設置しておく。
広い園地は、園内を区切って防風ネットを設置する。
2.なし、ぶどう等の棚栽培は、鉄パイプや支柱等を設置して落果や擦傷を減らす。
3.幼木等の倒伏し易い樹は、支柱を立てて固定し、倒伏を防止する。
4.排水溝設置と清掃を行う。
5.ハウス栽培で、ビニールや防風ネットを被覆している場合は、取り付け金具の締め直しやマイカ線の固定、側杭の補強を行う。
ハウス周辺に排水溝を設けておく。強風時にはハウスを密閉し、換気扇を作動させる。
6.ビニールやネット等を残す場合は、ひもで束ねて堅く縛る。強風が予想される場合は、予め除去しておく。
【事後対策】
1.溝切りや排水溝の清掃を行い、速やかな排水に努める。
特に、果実と結実している、もも、ぶどう、なし、ハウスみかん、ハウスすだち等は、早期排水と土壌乾燥に努め、冠水、湿害の発生を回避する。
2.折れた枝は、切り直して癒合促進剤を塗布する。
主枝、亜主枝等の枝裂け部は、縄などで縛り癒合を促進する。
3.倒伏樹は、立て直して支柱等に固定し、土寄せする。
4.冠水した温州みかん園は、清水で洗い流した後、褐色腐敗病の防除を行う。
5.かんきつのかいよう病、黒点病等は、風雨によって発生が助長されるので、防除基準に沿って適宜防除する。
花き
【事前対策】
1.ほ場の排水対策を行い、冠水、湿害の発生を回避する。
2.露地花きはネット等の支柱を増強し、倒伏を防ぐとともに、必要に応じて周囲に防風ネット等を張り、風による損傷を軽減する。
3.鉢育苗中の苗等は室内に取り入れたり、ネットをかけるなどして鉢の飛散や茎葉の損傷を防ぐ。
4.施設栽培では、マイカ線の締め直し、側杭の補強などハウスの点検・補強を行い、強風時にはハウスを密閉し、換気扇を作動させる。
【事後対策】
1.冠水したほ場は速やかに排水し、中耕を行って根の回復をはかる。
2.生育中の花き類で、風雨による土の跳ね上げや冠水による汚れがみられる場合は、薬剤散布を兼ねて水洗し、病害の発生を防ぐ。
3.防風対策で室内に取り入れた苗等は台風通過後は止めに戻し、防風対策でべたがけしたネット等も除去する。
4.転倒・転落した鉢は速やかに復旧手当を行ったのち、病害防除のため、薬剤散布を行う。
5.施設栽培では、風が弱まった時点で速やかに換気を行い、天候回復後の高温障害の発生を回避する。
6.湿害等の影響で根が弱っている兆候がみられる場合は、適期に液肥の葉面散布を行う。
畜産
【事前対策】
1.屋根、カーテン、構造物などを今一度点検し、家畜に被害のないようにする。
トタンなどが風で大きな音を出す場合、家畜に不安感を与えるので早めに修理する。
2.飼料置き場、堆肥舎など点検し、濡れたり流出しないようシートで覆う。
【事後対策】
1.畜舎内へ浸水が発生し、病気の発症等が疑われる時は直ちに診療を受ける。
2.畜舎や糞乾燥ビニールハウス等が破損した場合早急に補修を行う。
3.浸冠水したほ場は、早急に排水に努め、適正水分に戻す。